地域資源の発掘と利用-知財を活用する富士宮やきそば-

ご当地グルメの王者として、全国的に知られるようになった富士宮やきそばは、バイパスの開通で衰退した中心市街地の活性化に取り組む中で、路地を代表する「食」として発掘されたそうです。

もともと地域で普通に食べられていたメニューだったようですが、中心市街地の活性化に取り組む有志が議論し調査で確認したところ、富士宮市はやきそばの消費量が日本一であることが判明。まちおこしの素材として生かすため、「富士宮やきそば学会」が立ち上げられ、売り出しに向けてキャンペーンがうたれたのです。

富士宮やきそばの名を、一躍高めるきっかけになったのが、2002年に放映された「天下分け麺の戦い」です。小倉市の富士宮市訪問を機に小倉市の焼うどんとどちらがうまいか競い合いをすることになり、これは面白いと、テレビ局が放映しました。富士宮やきそばは僅差で敗れはしたものの、富士宮やきそばは「ご当地グルメ」として一躍有名になりました。

その後、2006年から始まった「ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ」で大賞を取得。以来、ご当地グルメによるまちおこしがブームとなりました。経済波及効果は、売り出してから10年間で、500億円を超えるということで、半端な規模でないことにもびっくりしてしまいます。

ただ、富士宮やきそばの取組で見落としてはいけないもうひとつのポイントは、商標制度をうまく活用することで、まちづくりに多面的かつ持続的な効果をもたらしてきたことです。

実は、「富士宮やきそば」(第4633719号)及び「富士宮やきそば学会」(第4803585号)は、それぞれ一般商標登録されており、今も知財として関連商品開発や、ツアー造成に活用されているのです。さらに、駅前に立地するイオンとも連携し、「富士宮やきそばWAON」が発行されています。これによって、加盟店で利用された金額の一部が、「食」のまちづくりをめざす富士宮市の「フードバレー構想」に活用されているそうです。

各地のスーパーで見かける富士宮やきそばのカップ麺や、富士宮やきそばを食べるプログラム付きのバスツアーなど、まさに外貨を稼ぐ仕組みとして機能しているいうことができます。また、「富士宮やきそばWAON」が導入されていることで、域内循環の仕組みにもなっているということができます。

地方創生に向けたソフトインフラとして、知財の活用は重要な着眼点だと思います。富士宮市では、弁理士との協定を結び、やきそば以外にも商標を活用したビジネスが推進されています。まだまだ新しい取組の発掘が推進されているそうです。地域の持続的な発展に向けて、地域の資源を発掘し、それを知財として活用するという着眼点に学びたいと思います。