観光バリューチェーン

来年度の中小企業対策予算では、消費税の税率引上げ対策に関連した具体的な取組として、キャッシュレスポイント還元事業2,798億円、商店街・観光消費創出事業50億円が計上されているのが目を引きます。これは、消費税率上げに他する駆け込み・反動減の平準化等を意図した対策という位置づけの取組です。

2020年のオリンピックを控えるタイミングで、時宜を得た取組と言って良いと思います。これまでインバウンドを含め、観光対策といっても、どちらかというとハードな基盤整備が中心新だったので、消費の喚起に資する商店街振興のための予算はぜひとも有効に使っていただきたいと思います。

そして、その際に、ぜひとも留意して頂きたいのが、観光振興の視点に立った「バリューチェーン」の構築です。

というのも、これまでの観光振興策は、道路サイン、案内板や、WiFiの整備等、基盤整備に重点が置かれがちだったように思われるからです。こうした観光基盤の整備はもちろん重要ですが、地域の観光振興が最終的に目指すべき、外貨の獲得や、地方の稼ぐ力の強化にあたっては、関連産業に対する消費の喚起が重要です。できるだけ多くの観光客に来ていただき、宿泊して頂き、最終的に消費して頂いて、地域経済の活性化に資するのだと思います。

「観光バリューチェーン」の視点を持つことによって。観光振興に向けたプロセスを地域全体でとらえ、 •魅力形成 、来訪促進、回遊促進、消費・好印象形成促進というプロセスをしっかりと連携させることによって、メリットを享受できるようにすべきだと思います。

「観光バリューチェーン」という考え方は、 日本では青森市など一部の地域を除いて、あまり取り組まれていないのですが、海外における観光振興ではこの視点のもとに政策を組みたてている例が散見されます。今後の積極的な推進に当たって、一回、この視点から見直すと、様々な気付きが得られるのではないかと考えています。。

特に、地域観光の推進役として期待されている観光DMOの機能としては、こうした川上から川下をつなぐ視点がきわめて大切だと思います。 貴重な予算を有効に活用するためにも、こうした新たな視点に立った仕組みづくりを推進して頂きたいと思います。

観光バリューチェーンのイメージ

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