未来思考に向けて-フィードフォワードについて-

コーチングでは、取組の結果からヒントを得る「フィードバック」に対して、未来を考えることを促す方法のことを「フィードフォワード」と言うそうです。やったことを振り返り、反省から気づきを得るフィードバックは、ともすると自己否定につながりがってしまいますが、過去ではなく将来を見ることによって、やる気を引き出すことにつながるということで、最近、重視されているようです。

なんとなくわかるような気がします。ただ、実際にやってみようとすると、結果を次の行動に活かすフィードバックに対して、何を次の行動に活かす取組なのかがよくわかりません。いろいろ調べたのですがよくわからず、制御理論に即して考えてみました。

一般的にシステムの制御の方法は、どのような情報を制御に用いるかによって、次の3つに大別することができます。

  • 開ループ制御:インプットのみで次の活動を決める制御方法(外的環境を考慮せず)
  • 閉ループ制御:システムのアウトプットをフィードバックすることによって、次のインプットをコントロールする制御方法(外的環境による影響をフィードバックを通じて制御)
  • フィードフォワード制御:外部環境変化による影響を考慮して、次のインプットをコントロールする制御方法 ( 外的環境による影響を予測を通じて制 )

例えば、植物を育てる際の水やりで考えると、 開ループ制御は初期設定に基づき定時に一定の水やりを行う手法です。 閉ループ制御は、初期設定だけでなく苗床の湿度を観測して水やりの量を調整する手法、 また、フィードフォワード制御は、当日の温度や湿度による水分蒸発量を予測して水やりの量を制御する手法といえます。フィードフォワード制御はシステムの結果情報を用いないので、開ループ制御 の一種ですが、 単純な開ループ制御と は異なり、外部環境の変化を考慮する手法といえます 。そのため、有効に機能させるためには、確度が高い予測が可能であることが必要ともいわれています。

組織マネジメントに即して考えてみると、開ループ制御は単純な計画やルールに基づく業務執行といえるでしょう。これに対して、 閉ループ制御はいわゆるPDCAに基づくマネジメント、フィードフォワードは環境変化を考慮した組織運営といえるように思います。同様にコーチングに即して考えると 、開ループ制御は目標・ルールの設定 、 閉ループ制御は 振り返り、 フィードフォワードは環境変化への対応と、それぞれの視点から対象者の気づきを促す取組と言えるでしょう。

この整理を行いながら、もしかしたら、PDCAを推進する際に「C」「A」の重要性ばかりを強調し、「P」「D」を所与と考えてしまっていた場合もあったかもしれない、という気持ちになりました。 実績の振り返りのみに縛られて、自らを取り巻く環境変化とその影響に目をやらないようでは、明るい未来は拓けません。「イノベーションのジレンマ」に陥らないためにも、 時には前提となる考え方を疑ってみることも重要だという思いを新たにしました。フィードフォワードは、このようなコンテクストで考えると、重要な示唆を与えてくれる視点のように思います。

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