補完性の原理に思う

公共サービスのあり方を考える際の基本的な考え方として、補完性原理(subsidiary principle)があげられます。これは、課題や決定は出来るだけ小さい単位で解決し、解決できない課題のみをより大きな単位の組織が対応するという考え方。わが国の地方自治に即していえば、市町村では対応できないものは都道府県が、都道府県ても解決できないものは国がという具合に、課題の性格に応じて最も適切な機関が対応するということです。
 
補完性原理は、欧州連合(EU)が補完性原理を採用したことにより、注目を集めました。ちょうど1990年代の始めに、発足に向けたEUにおける地域支援制度「Community  Support Framework」を調べていたことがあるのですが、この考え方のもとで各国の地方制度を一元的に位置付けていることに感嘆した覚えがあります。最近、広域行政のあり方を考える際にも、まずこの考え方が頭に浮かびます。シンプルなだけに強力な概念だと思うのです。
 
ただし、コミュニティを維持するかどうかは、単純に地域の規模で決まるものではなく、地域の意思の存在による面が大きいようです。
 
例えば、人口減少が進む中で、コミュニティの核的な施設である小学校の廃止を余儀なくされているケースが増えている一方で、平成の大合併の際も合併を拒否した基礎自治体で、小学校が廃止されたというケースはないという話を聞きます。小学校の場合、人口規模で機械的に小学校の成立可能性を判断するのではなく、自らの地域を維持し、課題を解決するという意識が重要なのだという気かします。
 
こんな地域としての自立意識を強く感じたケースとして先日、訪問した京都府の相楽東部広域連合のケースがあげられます。構成する2町1村の人口をあわせても約8,600人、人口減少が急速に進行している地域ですが、基礎自治体を維持しつつ、適宜連携を行って課題に対処している姿勢が印象に残りました。特に興味深かったのは、笠置町、和塚町、南山城村という2町1村の教育委員会を広域連合に委ねている取組です。自治体を合併せずに、広域連合に義務教育機能をゆだねることによって、それぞれの自治体の学校は維持しつつ、地域内での人事異動をある程度柔軟に行う等の工夫を行っていました。
 
また、隣接する奈良県では、県が市町村連携による取組の支援役を積極的に果たす「奈良モデル」と呼ばれる取組を展開しています。これは、単独市町村では解決できない課題について、県が支援に入ることで解決策を見出す取組です。
 
これらの地域の取組を見る中で、自立して自ら課題を解決しようとする地域が存在することの重要性と、単体自治体では解決できな課題解決に当たっての連携の可能性を感じました。個別の団体あってこその補完性の原理であり、単体で解決できない場合も単に上位団体で委ねるのではなく、連携という選択肢も考慮すべきだと思いを強くしました。
 
コミュニティの崩壊を促進してしまったところのある平成の大合併には反省すべき点も多いと思います。地方創生に向けて、補完性原理を機能させるためにも、末端のコミュニティをしっかり機能させるとともに、連携を通じて課題解決を図る仕組みが求めらていると思います。
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