WEB会議に思う

遅まきながら、最近、WEB会議によく参加するようになりました。以前は月に1~2回程度だったのですが、昨年末から週に3~4回と日常的に参加するようになっています。だいぶ慣れてきて、最近ではi-phonとAir Pod Proをセットにして新幹線の移動中に多拠点をつなぐ会議に参加したこともあります。

打ち合わせといえばリアルに会うためにオフィスや会議室に出向いていた頃や、テレビ会議を行うために専用の会議室を予約していた頃とは隔世の感があります。慣れると空間制約を取り払う本当に便利なシステムだと思います。

こうしてWEB会議に頻繁に参加するようになって、ときどき思い出すのが、1990年代末にドイツの首都機能移転に関連して調べていたドイツのPOLIKOMという社会実験プロジェクトです。

1989年にベルリンの壁が崩壊し、統一を果たしたドイツでは首都がボンからベルリンに移転するとともに、政府機関が500km離れた新首都ベルリンと旧首都ボンに分散配置されることになりました。分散配置された首都機能間のコミュニケーション基盤として両都市を結ぶ専用回線が敷設され、両都市のコミュニケーション手段としてテレビ会議の普及が取組まれていたのです。ベルリンとボンそれぞれの省庁オフィスにテレビ会議室が設けられ、実験的に遠隔地の会議に取組んでいました。

POLIKOMで利用されていたのは、専用の会議室を用いたテレビ会議のレベルであり、現在のWEB会議システムと比べれば、利用しにくいところがあったと思います。それでも500km離れた場のコミュニケーション基盤として定着し、利用回数も増えているという説明が新鮮だったことが今でも強く印象に残っています。

もうひとつ今でも思い出されるのは、「テレビ会議を行う場合、実際に本人と会っているとスムーズに話が進む」というコメント。コンベンションの場で1回で会ったことがある人だとテレビ会議の意思疎通がうまくいくというコメントです。もう20年近く前のコメントですが、WEB会議で初めて接触する方も多くなる中で、このコメントは依然として生きていると思うことが時々あります。

デバイスは発展しても人間がリアルな存在であること、コミュニケーションの手段として新しいデバイスを使いこなすためには、そのことを踏まえたリアル、バーチャルなコミュニケーションの持ち方を工夫することが大切なのだと思っています。マネジメントを考える時も、社会システムを考える時も肝に銘じたいと思います。

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