PDCAとOODA

マネジメントサイクルの基本は、“PDCA”ですが、最近は“OODA(ウーダ)”が重要という声を時々聞きます。OODAとは、Observe(観察)、Orient(方向付け)、Decide(決断)、Act(行動)という4つのプロセスの頭文字です。

PDCAとOODAの違いは、出発点が計画ではなく、観察(Observe)だということ。状況を観察し、そこに対する迅速な意思決定が勝負を分けるという見方です。PDCAでは、計画が先にあるわけですが、実際の現場では現実に即してより、状況判断に基づく柔軟な対応が求められるという状況に、思い当たる経験を持っている方は多いと思います。

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OODAは、朝鮮戦争に従軍したアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐により、航空戦に臨むパイロットの意思決定を対象として提唱されたものだそうです。朝鮮戦争における米国の戦闘機F-86は、ソ連の戦闘機MiG-15と比べると、加速・上昇・旋回性能のいずれでも劣っていたにもかかわらず、実際の交戦ではF-86のほうが優れた戦果を示したのですが、ボイドはその理由を考え抜き、戦果をもたらした決定的な要因は、操縦士の意思決定速度の差にあったと結論づけました。

現場の経験をもとにした枠組みだけに、実践の場に適用しやすかったのだと思います。パイロットの意思決定理論として生まれたOODAは、1988年にハーバードビジネスレビューに紹介されるなど、戦術、戦略理論に敷衍され、ビジネスや政治の世界でも使用されるようになりました。背景には、アジャイルが提唱される今日の変化の激しい時代の中で、迅速な意思決定を求めるOODAの考え方がフィットしたことがあるように思います。

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ただ、一部の議論にみられるように、PDCAの見方が単純に時代遅れなのかというと、そうではないと思います。中長期的なトレンドを踏まえた戦略的な取組を行うためには、大きな方針を持つことが大切であり、その場合の出発点は策定段階も含めた「計画」の受容性は変わらないのではないでしょうか。

PDCAも「P」ではなく「C」から始めることが有効という議論が以前からあります。実際にマネジメントサイクルを回すためには、現状評価が重要ということは、当たり前のことであり、この点だけでPDCAは古臭く、OODAが優れていると断じてしまう議論には近視眼的な危うさを感じます。

むしろ、戦略立案のためにはPDCA、戦術的行動のためにはOODAといような、マネジメントの状況に応じたフレームワークの使い分けが必要なのだと思います。フレームワークを使う場面によって使い分けることが大切であることを再認識しました。

 

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