電子政府の取組に思う

2006年からしばらく大学院で電子政府の講義をしていたことがあります。政府の取組を紹介し、業務システム最適化や、e-taxの説明をしておりました。ただ、e-taxはひどく不評でした。ソフトウェアの設定が面倒臭く、説明も不親切だったので、時間がかかってしまったからです。また、税金は年によって細かい部分が改定されることもあり、再インストールも頻繁に行う必要があろことも一因のように思います。

当時と比べると、今はウェブ版のe-taxが導入されているので、だいぶ簡単になったように思います。が、事前の手続きが結構大変でした。そのため、紹介人からとても使えたものではないと責められてしまい、立つ瀬がなかったことを覚えています。それと比べる、現在のシステムは格段に使いやすくなっているように思います。あとは使ってみるか、使わないかというだけの差になりつつあるような気がします。

関連して、目に留まったのですが、2020年をめどに、税や社会保険の手続きを一括して済ませられるようにするそうです。企業が代行する従業員の税、社会保険手続きは、これまで所得税は事務所、住民税は地方自治体、年金は年金事務所、健保は全国健康保険協会などと提出先が異なっており、大半の企業が各機関に持ち込んでいたようです。私もこれまでの経験で状況はわかります。e-tax、eL-tax等がオンラインでできるにしても、各手続がバラバラなのです。主なオンライン申請の割合は平成16年度で13%にとどまるそうです。

生産性の向上の観点からいえば、こういう簡素化可能な業務は、どんどん効率化すべきだと思います。少なくとも米国との差はITの活用度合いの違いにあるのではないかと思うのです。企業のIT投資に対する姿勢が日本は遅れていることは以前から指摘されていることです。

政府の環境整備が遅れていることも問題だと思いますが、一方でこうした経営努力に背を向けている企業が多いことも問題だと思います。経営者も株主も従業者もIT活用によるパフォーマンスの向上余地にもっと真剣に向かい合う必要があると思います。

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