社会システムへのIT活用が進むフランス

隠れたIT大国と呼ばれる国が世界各地にありますが、間違いなくフランスもその一つだと思います。最近、10日間ほどフランスに滞在し、その思いを強くいたしました。

まず実感したのが、SIMフリー対応の広まり。スマートフォンのSIMロック解除は当間のことですし、主要都市には“free”というキャリアの店舗が立地していて、ここの自販機で簡単にSIMカードを買うことができます。しかも、これがとても安い! 通信データ量50G、通話無制限のカードが1ヶ月€8.99。カードの発行手数料€10をいれても約2,000円強です。日本への国際通話もかけ放題でした。日本の場合、SIMロック解除も問題ですが、SIMカードをもっと安く手軽に購入できるようにすることも重要だと思います。

日本で、消費税対策で推進されているキャッシュレス化も、フランスのほうが圧倒的に浸透しています。小さな店で少額決済を行おうとすると、現金払いを求められることがありますが、多くの店では数ユーロの支払いでもほぼカード決済で済んでしまいます。朝のマルシェもカードでOKな店舗がけっこうありました。決済手段は、ほぼクレジットカードで統一されています。PINの入力がいらないタッチ決裁への移行が進んでいるようです。パリでは、何度かタッチで大丈夫かと聞かれ、大丈夫というとうれしそうな表情を返されました。

 

 

クレジットカードだと店舗にとって負担になりそうですが、いろいろ中小企業向けの優遇措置があるのかもしれません。スーパーだけでなく、まだ元気な八百屋、肉屋、魚屋等の個店や飲食店が、ほぼキャッシュレスに対応していて、だからこそキャッシュレスが便利なのだと思います。

日本の場合、中小企業の加入率が3割強と低いことに加え、クレジットカード、プリペイドカード、QRコードと様々な手法が乱立していて、使い勝手が良いとは言えません。手法の統一化も重要な課題のように思います。

もう一つ注目したいのは、IT化を推進する企業や人材育成が注力されていることです。最近では、視察に訪れる日本人が増えているようですが、13区の操車場跡地にstation F と呼ばれる世界最大級のインキュベーションオフィスが立地しています。13区の操車場跡地に立地する34,000㎡、600室の施設には、1,000件以上のスタートアップ企業が入居しており、周辺開発とあいまって将来的にはこの周辺に3,000以上の企業が立地するというのです。金曜日の晩は、フードコートの席が取れないほど賑わっていて、エネルギーを感じました。

 

 

パリの周辺では、このほかにも新しいプロジェクトが構想されています。一時代前のようにパリが再びムーブメントの拠点になりつつあるのかもしれません。今後の動向に目が離せないように思います。

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