任意の計画策定を通じて強まる統制

地方自治通信社が配信するijampで興味深い記事を見つけました。地方自治体に計画策定を求める法律の規定数がこの20年間で約倍増しているというのです。実際、全国知事会による調査によると、自治体に計画策定を求める法律規定数は2000年に193件だったのが、2019年には390件に増えています。計画が財政支援の条件になっていて、策定が事実上義務付けられているケースも目立つとして、全国知事会は「地方分権に逆行している」と問題視しています。

端的な例は、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく地方創生の「地方版総合戦略」だと思います。策定は任意で努力義務ですが、補助金交付の前提となっているため、ほぼすべての地方自治体が策定しました。当初は企画提案型で行政に競争原理を持ち込むと打ち出された地方創生交付金ですが、結果的にほぼ全国の自治体にいきわたる、メリハリのない、ばらまき型の交付金になってしまったのではないでしょうか。最近は地方創生で取り組んでいるといわれる取組にハッとすることもなくなったように思います

計画急増の背景には、2000年の地方分権一括法の施行があるとの指摘も記事にはあります。国と地方自治体の上限関係がなくなったため、国が地方自治体を統制しづらくなり、計画策定の形をとって誘導しているというのです。こうした柔らかな統制が続いており、その対応に地方自治体が苦慮しているというのです。

記事を読んでいて、1995年から2期8年神奈川県知事を務めていた岡崎洋氏が、計画策定に追われる職員に向けて「ぷらん、ぷらんしていてはいけない」と叱咤していたことを思い出しました。地方分権一括法が制定される前で国の要請がより厳しかったのだとは思いますが、事務作業に追われ、考えがおろそかにならないようにという、職員に対する戒めだったと記憶しています。ちょうど都市計画マスタープランの策定を手伝っていた時だったので、ジブンゴトとして、企画力の大切さを再確認いたしました。

地方分権に関連して、決定や自治などをできるかぎり小さい単位でおこない、できないことのみをより大きな単位の団体で補完していくという「補完性原理(subsidiary principle)」が知られていますが、小さい単位の主体性を確保することが、効率的な問題解決と、多様で豊かな社会の実現には大切だと思っています。柔らかいとはいえ政府の統制がこうした地域の自発的な取組の障害になっているとすれば問題だと思います。地域の自発性を引き出し、伸ばす社会システムの実現を求めたいと思います。

 

出所:地方自治通信社「増える計画策定、自治体苦慮 「分権逆行」国に改善要求へ・全国知事会」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022700920&g=cyr)

 

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