電子書籍の出版を体験して

新しいタブでプレビュー

弊社で取締役を務める名取里美の句集「森の螢」のKindle本を出版してみました。角川書店から昨年11月に出版した句集なのですが、書店流通用のJANコードを取っておらず、一般市場で流通しないと知って、やってみることにしたのです。

角川書店に打診したところ、快く応じてくれ、オリジナルに近い表紙で出版することができました。

 

句集のKindle出版に当たっては、それなりの苦労もありました。句集は通常1ページに2句か3句を掲載するのですが、一般的なリフロー型のKindle本の場合、文字の大きさを読み手が指定できるようにするために、行数の指定ができないのです。目を付けたのは、マンガのKindle本。マンガ本そのままにページをめくることができます。

調べてみると、通常のKindle本がリフロー型と呼ばれるのに対して、マンガ本のように固定レイアウト型のKindle本があることを知りました。ただ、固定レイアウト型のKindle本を出すためには、きちんとレイアウトした版下が必要です。さらに目次づくりもひと手間かける必要のあることがわかりました。

ただ、いったん版下ができてしまえば、リフロー型でも固定ページ型でもKindle本を出すのはそれほど難しいことではありません。Kindleダイレクトパブリッシングのサイト(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/)にアクセスし、案内に従って書き込んで申請すれば、審査が行われ、それほど間を置かずに出版されるという塩梅です。

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Kindle出版は、新たな事業領域として最近目をつける事業者も出てきているみたいです。先日は、野村総合研究所で上司だった玉田樹氏から、15年前に出版した「兼業兼居の時代」が出版社の目に留まり、Kindleで再販することになったというご案内を頂きました。

「15年前に出版した「兼業・兼居のすすめ」が出版社の目にとまり、嬉しいことに、このたび電子版で再販されることになりました。(中略)15年前に地方の活性化のために、この本で兼業(副業)と兼居(二地域居住)を提言しました。これがいま、少しずつ姿を見せはじめています。この昔の本をあえて電子出版するのは、このコロナ禍において、「豊かさ」から「よりよく生きる」価値観に変わったことに対応する〝社会の仕組み〟はどうあるべきか、についてみなさんと一緒に改めて考えてみたいと思ったことです。」

さっそくサイトにアクセスし、現在にも通じる同氏の時代を見る目を証明した記念碑的な作品に、こうした形で再び出会えたことをたいへんうれしく思いました。

出版を企画した出版社“22世紀アート”は、これはという本を発掘し、Kindke版の出版支援を手掛けているようです。再販は、著者にとって、魅力的な機会ですし、Kindleの印税はKindleアンリミテッド扱いとした場合、定価を1,250円以下とすれば70%という高率なので、著者にとっても魅力的なビジネスになる可能性があると思いました。

ただ出版ノウハウはそれほど難しいわけではないので、コンテンツの発掘にかかる目利きが勝負。旬はここ暫く事業なのかもしれませんが・・

 

 

それにしても、Kindke本を出すことは、自分の著作を世に知らしめる有効な手段だと思います。自費出版する場合はすぐに百万円程度かかってしまうわけですが、自分でKindle本を出すのであれば、ちょっとした手間だけで済んでしまいます。それでいて、amazonのネットワークに載る著作物となるわけで、大きな可能性を感じます。

世に知らしめるのであればFacebook Twitter等のSNSが有効な手段として機能していますが、もう少しまとまった内容を情報発信する際の手段として、電子書籍を出版することも選択肢のひとつではないかと思います。

Kindle出版やその他の電子書籍の案内に、一度目を通すことをお勧めしたいと思います。

 

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