協調領域としてのプラットフォーム

政府の戦略イノベーションプログラム(SIP)の取組として構築が推進されているスマートフードチェーン“ukabis”は、農産品や食品の生産、加工・流通、販売・消費の情報の統一的な連携を担う「協調領域」としてのプラットフォームという特徴を有しています。

ここでいう「協調領域」は「競争領域」と対を成す考え方であり、ビジネスにおいて自社が担うコア領域と市場(調達元や顧客)が担う領域を明確に設計し、知財をコア領域及び境界領域に集中させることで、自社の付加価値を守りながら製品・サービスの普及を推進する考え方ということができます。組織や技術分野の枠を超えた外部との協業によるイノベーション(オープン・イノベーション)の必要性が高まる中で、その重要性が注目されてきました。

もともと研究開発領域で注目された考え方ですが、ネット社会が進行する中で、様々な主体との連携の可能性が広がる中で、製品・サービスの高度化を実現するためにも、両者を区分し社会的インフラとして協調領域のプラットフォームを確立することがますます重要になってきていると思います。

この協調領域としてのプラットフォームの構築に当たっては、少なくとも2つの課題に対応する必要があります。ひとつは、協調領域と競争領域の境界を明確にすること。もうひとつは協調領域におけるサービスの提供スキームを確立することです。

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第1のプラットフォームの協調領域と競争領域の境界を明確にするうえで難しいのは、ネット社会が進展する中で、プラットフォームサービス自体が競争領域のサービスとなってきていることです。例えば、食のトレーサビリティについては、IBMのフードトラストや、シンガポールのOLAM、我が国でもSBIトレーサビリティ等、多様なサービス主体が輩出してきています。

こうした中で“ukabis”のような協調領域のプラットフォームが果たすべき機能として、競争領域のプラットフォームが独自サービスを提供する上でも有用な情報連携基盤としての機能等があげられます。例えば、フォーマットが違う情報を連携させるためのプラットフォームのような機能を社会的な基盤として提供するイメージです。

ただ、具体的に両者の両者の線引きをどのように整理するかは意外と難しい課題です。

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もうひとつの課題は、協調領域におけるサービスの提供スキームの確立です。協調領域のプラットフォームといっても、成立させるためには、情報露ソースや、人的リソースを投入して事業として継続的に運営する必要があり、そのための財務的な基盤を確立する必要があります。

協調領域としてのプラットフォームは公共財としての性格も強く持っているわけですが、受益者が特定される面もあることから、税金を投入して運営するよりは、利害関係者の負担のもとでの運営が望ましいと考えられます。プラットフォームに存在意義があるならば、こうした関係性を構築できるはずですが、フードチェーンは関連する利害関係者が多いこともあり、機能するビジネススキームの構築が課題といえます。

また、当然のことながら、スキームの構築に当たっては、フリーライドを防止しかつ私益と公益をバランスさせる仕組み作りによって、「協調」への参加者が適正な利益を得られるようにすることも重要です。

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ネット社会の形成が進む中で、協調型のプラットフォームの役割は、グローバルな社会経済システムにおいても、ますます高まっていくものと思われます。

我が国の競争力を強化するためにも、協調領域と競争領域の切り分けによって共通知として共有可能なデータの流動性を高め、その活用による企業・業種を超えた業務遂行を促進し、イノベーションを促進していくことが望まれます。

機能する社会システムとして、“ukabis”をはじめとする協調領域のプラットフォームの実現が進むことに期待したいと思います。

 

「食」の情報連携基盤“ukabis”の仕組み

 

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