ゴールドマンサックスの「2075年への道筋」というレポートによれば、2050年になるとインドネシアが米ドル建て換算の世界GDPランキングで、中国、米国、インドに次いで、世界第4位に浮上するそうです。さらに2075年になると、ナイジェリアも世界第5位にランクインします。2022年時点では世界15位以内にも入っていない国が、2050年には世界5大経済大国になるという予測結果に少々驚きを覚えます。
両国のランキング急上昇の要因は大幅な人口成長によるものです。インドネシア、ナイジェリアとも2億人を超える大国であり、年齢構成も若い国であり、大幅な人口増が見込まれています。GDPの規模は、「一人当たりGDP×人口」で算出することができ、予測結果は人口当たりの経済規模(所得水準)が多少低くても人口規模の拡大が国力に大きな影響を与えることを示しています。
先日インドネシアにほぼ四半世紀ぶりを訪れたのですが、2000年当時約2億人だった人口が約2.8億人近くまで増加し、まちの姿が一変していることに驚きました。市場としての魅力から海外投資も盛んです。昨年訪問したナイジェリアは、社会資本の整備がまだまだ遅れていますが、アフリカの中では注目されている国のひとつであり、今後の可能性を感じます。
この間、日本は2000年の第2位から、2022年第3位、2050年第6位、2075年第12位とランクを下げています。両国とは対照的に、人口減少が国力に大きな影響を与えることがわかります。世界との比較の中でみて、昨年末の人口戦略会議の提言「人口ビジョン2100」が提起した人口減少の危機感を改めて実感しました。
同提言にもあるように、現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築することは可能だと思います。ただ国際社会において存在感と魅力のある国際国家を実現するためには、日本のポジションと開国の在り方について、今から十分に考えておくことが大切だと思います。
株式会社マインズ・アイ
代表取締役 名取雅彦