アンテナショップに思う‐ロシア人と訪問して‐

先日、地域活性化をテーマとする外務省の対ロシアOJT事業の主任講師として、ロシアからの研修生28人を8日間にわたって指導する機会を頂きました。受講生は、商工会議所、行政、大学関係者など、様々な分野で組織を指導する立場の方々。日本の地方創生の考え方の紹介や、日本の各地域におけるブランド創造、販路開拓、創業支援などの取組事例を紹介して、活発な意見交換を行いました。

海外の方だけに、想定しなかった質問が出てきたりして、受講生だけでなく、当方にとって参考になることも多かったのですが、なかでも面白いと思ったのは、ロシアには「アンテナショップ」という考え方がないということでした。

アンテナショップの取組事例として訪問したのは、有楽町の「まるごと高知」。2009年に高知県が設立した(一財)地産外商公社が運営するアンテナショップで、高知産品が味わえるレストランや、相談カウンターが併設されています。「地産外商公社」というその名の通り、高知県の産品を一般消費者に紹介するとともに、商社など流通のプロを対象とした販売促進を行っています。も併設されています。毎年2,000品目の特産品を取り扱っており、このうち新商品が毎年200~250品目あり、ショップの売上は年間約4.5億円、仲介する外商の仲介件数は9,600件に上るそうです。

ロシアにも地域の振興公社のような組織はあって、ここでブランド産品の開発には取り組んでいるようなのですが、地産外商公社のように公的機関が地域産業の販路開拓を積極的に支援するという考え方、特に大都市に一般消費者を対象とするアンテナショップを構えるという発想はなかったようです。日本でも注目されましたが、「地産外商」という打ち出しも、わかりやすくインパクトがあったように思います。

地方自治体が主体となって地域産品の販路開拓に取り組むアンテナショップは、日本では当たり前のような存在です。(一財)地域活性化センターの調査によれば、2018年度に東京に立地しているアンテナショップは76店舗に達し、銀座・有楽町に20店舗が集中しています。自治体によっては、海外にも同様の拠点を出していると聞きます。一方、海外に目を転じると英語にも「アンテナショップ」を一言で意味する単語がありません。こういう販路開拓拠点が海外に全くないというわけではありませんが、一般化したコンセプトにはなっていないように思いました。

日本人にとっては当たり前のような取組の中にも、ロシアの方へのヒントが隠されているということを改めて面白く感じます。モノの見方を変えること、「リフレイミング(reframing)」が重要なのだと思います。それに気づくきっかけがいろいろなところにありそうです。企画ネタの発掘に向けて、視野を広げ、アンテナを高くしたいと思います。

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