都市計画を通じた人口配置適正化-中央区容積率緩和制度撤廃について-

現在やっている仕事の関係で、都市計画制度をレビューしました。そんな中で興味深く思ったのが、中央区の容積緩和撤廃です。今年3月の区議会で矢田美英区長が、「より良い都心居住環境 の構築や良質なホテルの整備促進など、今後のまちづくり を見据えた各地域にふさわしい土地利用を推進するため、 住宅などの容積率の緩和を原則として廃止することとし、地区計画を改定します」という一文を含む所信表明を行いました。その後、具体的な施策が検討されていたようですが、9月27日にその内容が公表されました。

もともと中央区では人口の定住が大きな課題であり、その対策として1993年7月に「用途別容積型地区計画」、1997年7月に「街並み誘導型地区計画」など区内8割に地区計画を導入し、個別建て替えを促進していました。しかしながらタワーマンションに象徴される都心回帰で人口が増加し、昨年(2017年)15万人を突破。その後も増加し今年になって59年ぶりに16万人を超えました。ただ、課題だった人口定住が進んだものの、一部では保育園の待機児童の増加、小学校の対応の遅れなどの問題が生じているそうです。今回、こうした状況を踏まえて住宅に対する容積率緩和の廃止等が打ち出されたわけです。

区の公表資料によれば、具体的な見直しの対象は区内16地区の地区計画及び関連する都市計画であり、変更内容は下記のとおりです。住宅の容積規制緩和は撤廃される一方で、生活利便施設や、公益施設、公共的空間を整備する場合や、良質なホテル計画については容積率が緩和されます。

  • 定住人口の回復に伴い、住宅の確保による容積率の緩和を原則撤廃します
  • 飲食店、店舗などの生活利便施設や、地域に必要な保育所、診療所などの公益施設、広場などの公共的空間を整備する場合、容積率を緩和します
  • 一定規模以上の客室や、まちににぎわいをもたらす施設を設けた良質なホテル計画について、容積率を緩和します
今後の手続きとしては、年内の都市計画原案の告示・縦覧、来年1月の中央区都市計画審議会、2月の都市計画決定、来年7月の施行が予定されています。都市計画決定に関わるだけに施行までにはまだ時間がかかることがわかります。

地方創生が求められる中、人口が集中する東京都心部で無用な容積緩和規制を廃止し、生活に必要な機能の導入を進めるのは理にかなっていると思います。一部に、住宅価格の高騰を招くと心配する向きもあるようですが、周辺区まだ規制緩和の廃止が行われているわけではありませんし、本来地価の高まりによる抑制は、市場メカニズムを有効に機能させる取組とみるべきです。最適な人口配置に資する手法として、こうした基礎自治体の取組にも注目したいと思います。

参考:地区計画等の変更について(平成30年9月)

 

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