富士通の本社移転に思う

最近のニュースで面白いと思ったのは、富士通が2024年9月末までに東京汐留シティセンターの本社をクローズし、本社機能を川崎工場と川崎タワーに移転させるという記事。富士通は、コロナ禍をきっかけに、オフィス出社を25%に制限し、在宅勤務を行いやすくする制度改革にも取り組んでいたのですが、それを一歩進めました。コロナ禍が収まり、東京回帰月再燃するなかで、注目すべき動きだと思います。

海外では、本社は必ずしも首都の都心に立地していない場合も多く、例えば、Googleはシリコンバレーのマウンテンビューという人口82,000人の都市に立地しています。また、アメリカでは、創業の地にオフィスを立地させている企業が多いと聞きます。大都市に本社を構えることがステイタスにつながるというわけでは無いのです。

地方創生の観点で考えれば、本社を創業の地に置くことで、出身地への納税を通じた貢献が可能となります。日本でも、YKKが黒部市に本社を移転して以降、パソナの淡路島移転、横浜ゴムの平塚移転、ジンズが前橋に第二本社の立地を検討するなど先行事例が輩出しています。こうした事例をみていると、日本でも東京への本社立地が企業のステイタスになるという時代が変わりつつあるのではないかという気がします。

米国のサンフランシスコのように、大都市でドーナツ化が進み、ゴーストタウン化が進むようでは困りますが、帝国データバンクの調査結果等をみると、日本ではコロナ感染症の5類移行を機に、オフィス立地も都心回帰が進んでいます。人口減少、高齢化のもと、より喫緊の課題は地方創生です。今回の富士通等の先行的な取り組みが、オフィス立地のあり方見直しの契機となり、地方創生に向けた動きを促進することを期待したいと思います。

   

(株式会社マインズ・アイ 代表取締役 名取雅彦)

 

 

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